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ミャンマーの携帯電話市場

2010年以前のミャンマーでは、通信セクターの開発はあまり進んでおらず、携帯電話の普及率も世界で最も低い国の一つでした。

しかし2011年の民主化以降、通信インフラの整備が進み、携帯電話が急速に普及していきました。

日本・ミャンマー間においても、2012年4月に行われた首脳会談で、情報通信分野が重点項目として議論され、両国が協力していくことが確認されました。

 

現在では、携帯電話はミャンマー人の生活に欠かせないものとなっており、種類としてはプリペイド式のスマートフォンが主流となっています。

2012年には7%程度であった携帯電話の普及率は、2014年には49.5%、2016年には89.3%と急速に伸びており(*1)、現在でも成長を続けています。複数のSIMカードを所有しているユーザーも多いため、実質普及率はやや下がるものの(2016-17年度の実質普及率は79.5% *2)、その成長ぶりは注目すべきものと言えるでしょう。

 

通常の通話やメッセージサービスに加えて、Facebookや、タクシー配車アプリのGrabなどのコンテンツも、現在ミャンマーでは広く利用されていますが、今後は利用目的もさらに多様化していくと見られています。

ミャンマーのSIMカード
ミャンマーのSIMカード
Source : https://www.towerxchange.com/research/
Source : https://www.towerxchange.com/research/

かつてミャンマーでは国営企業のミャンマー郵便電信公社(MPT)のみが通信サービスを提供していましたが、2013年、政府は通信市場を開放するための措置を講じ始め、2014年には外資企業の受け入れを始めたことにより、ノルウェーのテレノール(Telenor)とカタールのオレドー(Ooredoo)が参入し、またMPTは日本の住友商事・KDDIと共同事業を行うことになりました。

現在、ミャンマーのモバイル通信サービスにおいては、前述の3社にマイテル(MyTel、ベトナムのViettelとミャンマーの企業の合弁会社)を加えた4社が主要な携帯キャリアとなっており、料金やサービス、通信速度などの面で各社が競い合っています。

今年5月にオレドーと中国のZTEは、ミャンマーにおける第5世代(5G)ネットワーク開発で協力するための基本合意書に署名し、また、8月にはマイテルが、2020年の5Gサービス開始に向けて、試験運用を開始しました。

 

SIMカードも、かつては非常に高額であり、一般の人が容易に購入することはできませんでした。しかし、携帯電話の普及に伴い年々価格が下がっていき、2013年にはミャンマー経済公社(MEC)がCDMA SIMカードをMECTelブランドとして1500チャット(日本円で105円程度…2019年9月現在)で販売を開始しました。

2014年にはオレドーとテレノールも1500チャットの格安SIMの販売を開始し、2016-17年度のSIMカードの販売枚数は、MPTは2318枚、テレノールは1880万枚、オレドーは811万枚にのぼりました(*2)。現在では、ミャンマーの一般的なSIMカードの価格は1500チャットに統一されており、一般の人にとっても購入しやすいものとなっています。

SIMカードの価格低下に伴い、携帯電話も以前より低価格で購入できるようになり、現在では各国の様々なメーカーのスマートフォンが市場に参入しています。

 

今後、通信セクターへの外国からの投資や、技術支援・協力がさらに進むにつれて、雇用の増加や、各種産業の発展、生活水準の上昇にも繋がることでしょう。

References

*1 総務省

http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/myanmar/detail.html

*2 The Myanmar Information & Communication Technology Guide

https://www.ictdirectory.com.mm/knowledge/how-to/item/1059-myanmar-telecom-industry-overview-2016-17.html